わたしに踏まれた星とわたしが踏まれた星

ホロスコープ1年生。名前は「蜷(にな)」です。

Netflixの占いドラマをおすすめします

Netflixで伊ドラマ『傷ついた心に贈る占星術ガイド』を見たよ!おもしろかったよ!!という話。

「占い関係のドラマないかな〜」と探していたらヒットしたのがこちら。2シーズンさっくりのドラマなので見やすくてよい。占星術については、太陽星座+アセンダントの話もちらりと、作中ではバースチャートもつくっていたけれど前面には出さず、たぶん設定はしっかりあるので掘り下げる余地がありそうなのもおもしろい。そしてなにより主人公の立ち位置がうまい!天秤座女子!

わたしも最初は「へー天秤座女子なんだーおしゃれー!」くらいの印象だったのに、物語が進むにつれて「これは天秤座以外にないのでは?!」と考えるように。もちろん、天秤座の象意なので、全員に当てはまるわけではないのは前提として。まず、めちゃくちゃ活動宮じゃん!!!ということ。天秤座が活動宮、ってこれまであまり意識したことがなくて、スマートでガツガツした雰囲気のない天秤座とうまく結びつかなかった。でも、これって恋愛ドラマ、ひいては現代のヒューマンドラマに欠かせないキャラクターなんだなと納得した。

主人公は、職場でも恋愛でも、自分と相手だけじゃなく、二重三重に取り巻く人間関係をつぶさにチェックし、メンテナンスを欠かさない。「あのとき元気なかったのがなんか気になる」とか「不用意なことを言って怒らせちゃったかもしれない」とかを放置せず、あちこちに飛んで行ってはフォローして回る。相手への態度は、子どもに対するようであったり、ビジネス的に線を引いたり、時には毒舌を発揮してみたり、これも対象とタイミングによって様々だ。まさに、バランスを取る星座。風のサインの活動宮ってこういうことかー!

仕事もそう。一歩引いてトータルにコーディネートしていく。自分の個性を打ち出したいとか、相手を出し抜いて出世したいとか、そういうタイプの欲望ではない。でも、自分自身が公平に扱われていないと感じたときは憤然として戦う。怒っている場面の取りつくしまのなさ、笑っちゃうんだよなー。鼻面でシャッターをビシッと下ろされる感じ。あと、人間関係がうまく行っていないとなると、いくら上司から評価されていようともナーバスになって、すべてコントロールしていないと気が済まない(しかも権力欲ではなく、完璧主義から発しているので周りも口を出しにくい)という面が悪い方に出てしまう。きっと人間同士の信頼関係が心理的安全性につながるんだろうな。周りから評価され、仕事を任されているときの主人公は、本当に生き生きと輝いて見える。

基本的には一話ずつ各星座に当てられ、それぞれの星座と主人公(天秤座)との相性はどうか?というストーリー。恋愛相手がメインだけど、時には恋のライバルのケースもある。その星座ごとのキャラクターが、イタリア的(?)皮肉に満ちた描かれ方をしていて、「あーやめときなよ、絶対に合わないよ」とか主人公に声をかけたくなるから、占星術っておもしろい。本来なら何話もかけて掘り下げていくところを、なんとなく星座のイメージが浸透しているからこそ省略できる部分があって、ストーリーのテンポの良さに一役買っていると思う。

ヒーロー役の男性の星座はしばらく明かされないので、ミステリー要素もある。知識を総動員しながら推理をしていくのも楽しい。ちなみにわたしは星座当てクイズを見事に外した。あ、あと、天秤座の主人公と、恋の敵役の女性(あえてここで星座は言わない)の種類のちがう「本音」がとてもよかったんだよなー。それぞれのサインに、それぞれの合理性と信念があることを、会話の中で肯定してくれている。

そういえばイタリアの国民性なのか、獅子座と射手座(それと天秤座もか)に甘くない?!とは思った。太陽、木星、金星。華やかで前向きなオーラがあるサイン。一方、牡牛座は後程主要キャラクターによって補完されるからいいものの、牡羊座の扱いは笑っちゃうくらいひどい。ターザンとかアウストラロピテクスとか。主人公の元カレが水瓶座なのでイヤな予感がしていたんだけど、まあ、微に入り細を穿つような水瓶座描写に心が折れそうになるよね。そもそもなんで主人公はあいつと付き合った?!「占いラボ」の動画で、天秤座がだめんずに引っ掛かりやすい星座の上位にランクインしていたことを思い出した。与えたら返ってくるだろうというフェアネスは、少なくとも感情労働の分野に関して、(一部の)水瓶座には通用しないと思われる……

人に対する目配りの細やかさ、「相手が助かるまで付き合う」という奉仕精神、そして間違いのない審美眼とトータルコーディネート力。天秤座、すごいぞ。Netflixが見られる方、リラックスして占星術のエッセンスを楽しみたい方、さらには『プラダを着た悪魔』などの仕事ドラマが好きな方にも、ぜひおすすめします。