わたしに踏まれた星とわたしが踏まれた星

ホロスコープ1年生。名前は「蜷(にな)」です。

四角関係

わたしの親しい友人は、蠍座と牡牛座だ。これまでなんにも考えていなかったんだけど、ホロスコープを読み始めると「ふたりともスクエアじゃん!」と。占いではよく風のサインと相性がいい、と言われるけど、意外と同じサインの友人っていないんだよね。天秤座の妹と仲が良いくらいだ。

友達が少ないくせに、ダイエットにハマって会食を遠ざけたり、なかなか自分から旅行に誘わなかったり、こんなにずぼらでチャランポランのわたしに付き合ってくれる二人には感謝しかない。ちなみにこの二人はそれぞれ地元の幼なじみと職場の同僚なので、三人で一堂に会する機会はないし、わたしがお互いを紹介することもないだろうな、と思う。以前、双子座の友人が「友達同士につながってほしいから、紹介する。わたしが会いたいときに気を遣わずにみんなで会えたほうがうれしい」と言っていて、「ほへー、そういう価値観もあるんだなあ」と感心した。

それで、蠍座の友人の話。他の惑星がどういうアスペクトを取っているか知らないけれど、一見それほど意志の強い感じではない。どちらかというと、おっとりしていて女の子らしいタイプ。小柄でかわいらしい。でも話してみるとすごく肝が座っていて独特のものの見方があり、わたしの知らない情報をたくさん持っていておもしろい。お客さんから、「(彼女に)褒められるとうれしい。嘘をつかないから」と言われたことがあると聞いて、さもありなんと思った。

考えたことをそのまま口に出す、というのとは少し違う。ひどくつらいことを他人に打ち明けずに乗り越えてしまうことがある。黙っているときは、本当に一言も漏らさない。……わたしの察しが悪いのかもしれないけれど。彼女には言葉を人から借りてきたような印象がない。気取ったところや、打ち解けにくいところもない。他人に重さを感じさせないまま、「この人は信頼できるなあ」というしっかりとした実感を与えることって、なかなかできないんじゃない?彼女がちゃんと評価されている弊社って、世の中って、そう悪いものじゃないな。そんなことすら感じさせてくれる。

そんな彼女の姉は魚座で、数年前にホロスコープにハマっていたらしい。そして姉の特技は、彼女から友人の特徴を聞いただけで太陽星座を当ててしまうことだと言う。……いや、それはむしろ彼女の観察眼がそれだけ的確で、メッセンジャーとしての才能が無茶苦茶あるってことなんじゃないの。そら恐ろしい。わたしの星座も突き止められていたらしい。彼女に性格を完全に見抜かれているじゃないか!

わたしは彼女と会うと「ああまた調子に乗って薄っぺらいことを長々としゃべってしまった……」と後悔することもしばしばあるんだけど、わたしが自分を大きく見せようとして吐く嘘も、その後罪悪感で凹んでいる姿までもを、把握されている気がしてならない。彼女は嘘をつかないだけじゃなく、他人の嘘もお見通しなのだろう。なんだかんだ、それでも会い続けてくれるのだからありがたい。いつか見限られてしまうのだろうか。そういうときも彼女は黙って去るのだろうか。言葉と行動で、誠実さを示し続けなくては。そう、固く誓うわたしであった。