わたしに踏まれた星とわたしが踏まれた星

ホロスコープ1年生。名前は「蜷(にな)」です。

わたしの宿痾、そして宿題

わたしは3年前、今よりも30kg太っていた。仕事での(わたし自身も中心的な役割を演じた)トラブル、人間関係の行き詰まりなどが最高潮に達し、会社への怨恨感情や、「もうどうにでもなれ」という投げやりな気持ちが仕事へのやる気を失わせた。転勤間際の時期、とりあえず外回りをしているふりをしていたけれど、成果はあがらなかったし、その工夫もしていなかった。みじめだった。会社組織や上司への責任転嫁により、自分自身の内部にある原因を見つめることは徹底的に避けた。

その時期に起こったのが、とにかく食事にふけることである。毎日、焼肉定食やすき焼き丼などを食べ、ジョッキでビールを飲み、休日はピザのMサイズを1枚丸ごと+フライドチキン、ケーキは2〜3個食べるのが当たり前だった。食べているときは何も考えずに済んだ。

部屋は荒れた。コンビニや外食チェーンの包装、空き缶やペットボトル、生ごみまでもが、とりあえずコンビニのビニール袋に突っ込まれた状態で放置されていた。においを放つようになってくると、その発生源を突き止めて、それを捨てた。虫が出ても、以下同文。

洗濯機の中には、洗濯したものの干さなかった衣類が溜まり、洗濯するときはコインランドリーか、クリーニング屋に持ち込んだ。その回数も頻繁ではなかった。風呂も、へどろのような水が排水溝から流れきらずに詰まり、異臭を放っていた。風呂用椅子の上に立って、シャワーだけ浴びた。歯磨きは、ほとんどしなかった。

おそらく周囲にも異様なことはバレていただろうと思う。直接的に指摘してくる人はいなかったけれど。清潔感はなく、口臭もあっただろうし、体型のせいで「いびき」もひどかった(「いびき」はのちに友人に言われた)

転勤(これは定例的なものだったが、上記のトラブルの調査により、時期は遅れた。そのこと自体もわたしを苛立たせた)が差し迫った時期、わたしはほとんど半狂乱になりながら引越しの準備をした。あれもこれもひとまず捨てて、部屋をなんとかまともな状態にしなくてはいけなかった。引越し当日も、洗濯機の裏から固まった衣類が出たり、カーペットの下から細かい虫の死骸が出たり、散々だった。あのときの業者さんには本当に申し訳なく思う。

転勤して、精神状態が少しマシになった。転勤した先では、一定の「戦力」として期待され、それを認められた、ということもプラスに働いた。また、わたしの前任はそれほど仕事ができるタイプではなかったらしく、プレッシャーも少しやわらいだ。失礼なことだが。

それでやっと歯医者に行った。上下で6〜7本くらい虫歯治療が必要であり、あまりの黄ばみに医師から「煙草を吸っていたの?」と聞かれた。まったくの非喫煙者にも関わらず、だ。転勤先では、当たり前だが、まだ部屋は散らかっていなかった。片付いているうちに、と掃除用ロボットを買った。休日は一日中それを走らせた。洗濯機は毎週土曜日に回すことに決め、1年くらい経った頃にダイエットを始めた。

未だにあの頃のことを思い出すと、胃の腑から苦い汁が込み上げてくる。発端から経緯、終着に至るまで、隅々までわたしの悪性があらわれたような出来事だった。今も整理できていないし、反省などもってのほか、会社に対する被害者意識も健在だ。同時に、わたし自身への信頼感も大いに毀損した。「おまえは自分はなんだかんだでうまくやれると思っているだろうが、これほどたやすく怠惰に流れ、生活を持ち崩すことができるのだ」と。

まだ、ホロスコープとうまく関連づけて話すことはできない。清潔意識の低下は、水星(山羊座)と金星(水瓶座)の合によるものかもしれない。考えない、考えたくない、という姿勢が、対外的な美意識を失わせた。金星にトラインしている木星(牡牛座)が、「傾向の拡大」という性質によってそれを増幅した。一旦ほころび始めると崩壊するところまで突き進んでしまうのが、わたしのホロスコープなのかもしれない。すべての惑星がアスペクトによって関連づけられている。

BCP意識ゼロかよお!

かろうじて生活を立て直せたのは、環境の変化が大きい。天王星は9ハウスに位置しているけれど、比較的遠距離の転勤も含んでしまってもいいかもしれない。外からやってくるような変容は天王星のやる気スイッチだ。そもそも不祥事の発生によって転勤を留め置かれたあたりから、わたしのどろどろとした感情的停滞が始まっていたのだろう。

わたしがトラブルを引き起こしてしまったこと、そしてその後の経緯について、まだうまく言語化も、内面化もできていない。わたしは今度こそ考えることをやめたくない。わたし自身の「病気」を見つめ、受け入れ、わたしをよりよくしていきたい。たぶんまた、転ぶだろうけど。転ぶからこそ。