わたしに踏まれた星とわたしが踏まれた星

ホロスコープ1年生。名前は「蜷(にな)」です。

さまよえる火星くん、そして太陽

火星くんについて、触れてこなかったことがある。実は火星くん、牡牛座のサインはあんまり気に入っていないらしい。火星ー牡牛座は「放浪」をあらわす座だそうな。火星くん、わたしのホロスコープ全体にこれだけ影響を及ぼしておきながら、実力を封じられていたとは。恐るべし、火星。

火星を火星たらしめるエネルギーは、牡牛座のサインと重なると、どこかのんびりおっとりとしたモードに変換されてしまうという。確かに、わたしのやる気は燃え上がっても長続きしない。モチベーションをあげることよりも、テンションを下げないこと。テンションが下がってしまっても、「このうんこみたいな仕事は、わたしがやらないと誰もやってくれないんだ……」(下品さには目をつむってほしい)と覚悟して、だらだらと少しずつでも手をつけること。

この「温度感の維持」というやり方こそが、「居心地よくねえけどがんばってやるか」というモードの火星くんを表しているのかもしれない。

むらっけのある火で調理をするのは難しい。生焼けだったり、焦げすぎたり、散々な思いをすることもたくさんある。だけど、「消えたかな?」と焚き火を覗き込んでみると、意外としぶとく種火が残っている。居心地の悪そうな火星くんを宥めすかしながら、わたしは今日も不恰好な料理を仕上げる。

一方、冥王星さんは蠍座のサインこそ「本来の座」らしい。……なんだかぞくぞくするような響きだ。とは言え、わたしは冥王星蠍座世代なので、おそらくあっちでもこっちでも冥王星さんはご機嫌うるわしく過ごしていらっしゃるのだろう。それはさておき。

惑星の品位という話題で、火星ー冥王星、そして太陽(こちらも「放浪」)の関係性に思い当たることがもうひとつ。病気のことだ。

わたしは小児アトピー、小児ぜんそく持ちで、子どもの頃は病院通いが日常だった。大人になってもしばらくの間、両手に謎の発疹が出たり、目の周りなどの皮膚の荒れに悩まされたりした。最近は、不思議とそれがない。

火星くんの攻撃性は、自己を防衛するためのものだと言う。これは、自他を超えて侵入する、冥王星さんの攻撃性とはまったく別のものだ。火星くんの働きは免疫力に他ならない。そしてわたしの、未熟な火星くんと太陽くんの組み合わせは、特に自我の未発達な幼少期にあっては暴走し、アレルギーという形であらわれたのだ、という解釈はどうだろうか。

牡牛座は、感覚器官だ。でも、口や喉は、異物と接する最前線でもある。すべてを排除してしまうと、生命力は喪われてしまう。火星くんは、牡牛座サインの下で分の悪い戦いを強いられている。時間をかけて、よく噛んで。吐き出すべきか、飲み込むべきかを吟味して。せっかくのスピードを活かしてあげられなくてごめんね。かれは、彷徨い出てしまいたい気持ちを持ったまま、四方八方に檄を飛ばす、とても優秀な司令官だ。