わたしに踏まれた星とわたしが踏まれた星

ホロスコープ1年生。名前は「蜷(にな)」です。

月さん、君の名は

わたしの月は、太陽(11ハウス・水瓶座)とコンジャンクション。だからホロスコープ上、太陽のアスペクトとほぼ一緒になっていて、唯一の違いは、太陽のみ木星(2ハウス・牡牛座)とスクエアを形成していることくらいだろうか。あまりに太陽と結びついているので、かえって月の働きがわからない。

月さん、君の名は。

よく考えると、冥王星(7ハウス・蠍座)と火星(1ハウス・牡牛座)からスクエアでエネルギーを食らっている時点で、平気なはずはないと思うのだが、太陽隊長と一緒だから「海兵隊員は許可なく死ぬことを許されない!」なのか?

月の居所は蟹座だ。わたしの場合、そこには……キロン(3ハウス・蟹座)だ。ほらー!やっぱり傷ついてんじゃん!

3ハウスの象徴が兄弟姉妹であることに、思わずたじろいだ。妹には、負い目があった。わたしは大学進学時に実家を出た。もともと地元の大学に進学するつもりだったのを、遠方の大学へ進路変更したのは、担任の勧めによるものだったが、当時既に家にいることに苦痛を感じ始めていた。

わたしは長女であり、誰にもとめられることはなかった。まもなく弟も同様に遠方の大学に進学した。ただ、妹は、一旦は家を出たものの、諸事情があり、ふたたび故郷に戻らざるをえなかった。家族の成員が移り変わる中で、きっと彼女がコミュニケーションを潤滑に回す役割を担わざるをえなかった。わたしが逃げ出したさまざまな仕事を、やり遂げた。

父も母も年老いてゆく。心配ではあるが、自然の摂理だと思う。むしろ兄弟たちのことのほうが気にかかる。わたしの月、わたしのキロンは、ここにあるのだろう。

キロン(3ハウス・蟹座)は、土星天王星(9ハウス・山羊座)、そして海王星(10ハウス・山羊座)とオポジションの位置だ。……これだけでは終わらないぞ、という予感がする。とても騒がしいわたしのホロスコープの中で、吉角もコンジャンクションもなくぽつんと浮かんでいるのは、キロンだけだ。わたしがわたしのキロンをネグレクトしている。

きっとわたし自身もまだ認知していない、抑圧された影が、夕暮れの公園のブランコみたいに、ぼんやりと揺れている。ゆっくりと時間をかけて、わたし自身の月とキロンに向き合っていきたいと思う。